海外キャリア

【海外勤務】日本企業で女性の海外勤務を実現!成功のコツ

概要
・男性中心の伝統的な日本企業(所謂JTC)で二度の女性の海外勤務経験を実現し、成功できた要因
・海外勤務に繋がる実績の積み方、環境の選び方など普段からできる海外勤務実現へのヒント、海外勤務を更なるキャリアアップに繋げる方法

「今度の欧州拠点担当の後任にあなたの名前がでているらしいよ」
海外勤務を目指して約10年。不景気や順番待ちで海外勤務のチャンスが次々消え、後輩にまで追い越され始めた私は海外勤務希望を諦め半ば腐りぎみ。そんな時当時のメンターが内緒で教えてくれたことだった。確率はかなり高そうだ。それまでがむしゃらに頑張ってきたことが報われた気がした。

 

学生時代から海外志向。海外で働いてみたいとずっと思っていたが、外資系や海外企業で働く自信がなく、海外勤務を目指し日本企業に新卒入社することを決めた。
入社時から海外勤務希望を周囲に伝えてはいたが、当時女性の海外勤務実績はほぼ皆無。好奇の目で見られながらも夢の海外勤務を目標に奮闘する毎日だった。

 

女性×海外勤務の実例もなく、可能性は恐らくかなり低かったがそれでも選ばれたのは、今思えば、海外勤務に選ばれる為のポイントを押さえていたからのように思う。
自分の経験を振り返り、また周囲を見ていると海外勤務を実現するには環境×実績(仕事での成果×コミュニケーション力/人脈×語学力)の値を上げるかと、それをどう効率的にアピールするか、で決まってくる気がする。

ここでは少し具体的にお伝えしていこうと思う。

1. 環境(海外勤務のチャンスが多い会社、部署にいた)

会社、部署により常時駐在員を送っている所とプロジェクトベース、必要時のみ(拠点立上げ、閉鎖時やシステム導入時等)送る所とがある。私がいた会社は海外での生産、販売の強化の為常時100人を超える海外駐在員がいて、部門でも常時10人程度は海外勤務の人がいた。

そもそも海外駐在が可能、しやすい部署でなければチャンスの確立も減ってしまう。
海外勤務のチャンスがあり且つ自分の強みが生かせる会社、部署に身を置かないとチャンスは来ない。来たとしても遠い先。
今の環境で海外勤務のチャンスが余りに少なければ、異動や転職も考えた方がいいかも。

 

2.実績作り

仕事での成果、実績

仕事で成果を上げる事が海外勤務を実現する上で一番重要。
仕事のできない人は海外勤務は難しい、というかできない。海外駐在は高コストで、それに見合うだけの成果が得られると判断されないと選考には残れないからだ。

コツコツと日々確実な仕事をしていくことでもいいし(アピールの仕方を注意しないと見過ごされがちだが)、大きな案件の主担当となり表に出るでもよい。
海外勤務は日本にいるとき程手厚く上司や先輩がフォローしてくれることはなく、その環境下で仕事の成果を求められるので、所謂一人前になり、上司に相談、報告はするが自分で考え、行動できる状態で、成果が出せる状態にならないと、最後は本人が辛い思いをすることになる。

私の場合確実さ、コンスタントさは若干苦手だったが海外取引先からの大きな購入案件をいくつか担当し、価格交渉、サプライチェーン整備、部材確保等の実績が評価された。役員報告がある規模の取引で、役員、他部門長へのアピールの機会にもなった。

-コミュニケーション力、人脈

仕事の成果にも繋がる話しではあるが、普段から社内外で人間関係を構築し人を巻き込めるということは仕事での成果として現れる。

海外勤務は人と人、部署と部署、拠点と拠点を繋ぐ仕事が多く、コミュニケーション力があり、人を巻き込んだり、繋げる力のある人は海外勤務中にも成果を出しやすい。日本では担当者でも海外勤務中は管理職になるケースもあり、コミュニケーション力は現地での管理職経験にも役立つ為、現地での成果を支えるものにもなる。

-語学

昔は言葉は行けば覚える、と言っている人もいたが今はかなり減っている。
それは若手の語学レベルが上がったこと、語学0からの人を長期にわたり海外で育て上げるだけの企業側の余力もなくなってきているため。とりあえず英語である程度仕事ができるレベルに達しておきたい。

TOEICスコアが仕事での語学力を保証するものではないが、語学ができ(英語か現地語)
かつ語学力を証明できると海外勤務のチャンスは掴みやすくなる。

3. アピールの仕方

そして最後に重要なのはアピールの仕方。とにかく周りに意思表示をする。

女性の海外勤務事例が少ない頃は、黙っていると海外勤務希望があるとみなされずチャンスは回ってこなかった。そもそも女性に海外勤務希望があると認識されなかったからだ。とにかく海外勤務希望を伝えて歩いた。伝えて歩く場は休憩や飲み会が最適。古いやり方だが会社の人と飲みに行くのもいいアピール方法。特に経営層と話す機会となるコーヒータイム、飲み会があれば参加して積極的に仕事のことや自分の考えを話す。これは直接意思決定者にアピールするいい機会。

もう一つ地道なアピールになりうるのは頼まれた事はとりあえず引き受ける、こと。
当時社内では割と英語ができたので、日本の本部長クラスや海外の現地人拠点長が入る会議の通訳を頼まれれば引き受けた。事業内容をある程度理解している分的確な意訳ができたから重宝がられたからだ。自分の仕事とも当時の査定とも関係はなかったが、通訳を通じて普段聞けない経営層の話を聞くのは面白かったのでいつも引き受けた。

結果、「女性×英語×海外勤務希望」として、経営層にも名前と顔を覚えてもらえた。顔と名前が覚えてもらえれば、仕事で成果を上げると更に印象に残りやすく、効率的なアピールに繋がった

そしてもう一つアピールする上で大切なのは、上司が海外勤務を応援してくれるか、上司を味方につけられるか、だ。海外勤務希望を理解し、上へのアピールやチャンスをくれる等配慮やアドバイスをくれるような上司に恵まれるとチャンスも来やすい。

私の場合私の海外勤務希望を理解してくれた素晴らしい上司が昔いた。その方のお陰で大きなプロジェクトで成果を出し、経営層にもアピールできた。恐らくその方が私の上司でなかったら私の海外勤務はなかったかもしれない。上司を味方につけられるのはそれぐらい影響力が大きい。

一方、当時女性活躍の流れが始まった頃で、自部署を「女性活躍を実現できた部署」にする為私にチャンスをくれる上司もいた。当時はその人の成果の為下駄を履かされた、と内心モヤモヤしたが、今思えば手段は違えど目的は同じで私の海外勤務実現の一助となったことは間違いない。使えるものはなんでも使う、だ。

最後に

社会人の最初の10年は海外勤務の為に突き進んできた。実現すると、海外勤務はゴールではなく海外勤務でキャリアを積み、幅を広げ、新たなキャリアアップに繋げるスタート地点だということに気づいた。

だから海外勤務できたからゴールではなく、異文化の中での仕事、生活での挑戦はまた苦労の連続だし海外勤務後に、何を経験し、何を得て、何を持ち帰るかは本人次第。キャリアデザインに紐づけたビジョンを描き、目標を立てて計画的に行動していかないと任期はあっという間に過ぎる。

しかし日本企業にいながら海外で働く経験は、日本で働くとも海外企業に就職するとも違い、ダイナミックさと安心感がある機会。この絶好の機会を活用し、夢の実現、充実したキャリアデザインができる人が増えることを願っている。

【TEXT: Shelly

wami career
【海外転職】コネなし・MBAなし・現地語話せない私がドイツで転職にチャレンジ2度の海外勤務を経て、海外転職したShellyさんに海外海外転職についてさんに教えてもらいました。準備の仕方、狙いの定め方、進め方など、海外転職を実現したい方必読の内容です。...